日の出町駅付近散策〜野毛山編
(横浜市長公舎・旧野毛山配水池)
京浜急行線「日の出町駅」から、
旧野毛山配水池付近を目指すミニ散策をご紹介します。
駅改札を出て左へ進み、野毛山動物園へと続く坂道を登ります。
登りはじめて1・2分、やがて目の前に現れてくるのが、野毛山入口の目印となる、亀甲積みの擁壁です。
文字通り、亀の甲羅を思わせる六角形の石が、絶妙なバランスで積み上げられています。
ここは豪商平沼専蔵の別邸(
※注参照)跡地であり、さらに先へ歩を進めると、
写真(↓)のような、素晴らしい煉瓦造の塀も見ることができます。
今は上記の石積みと併せて、横浜市の認定歴史的建造物になっています。
敷地内は、共同住宅となっているので中へ立ち入ることはできませんが、
当時の大庭園を偲ぶ大きな石灯籠を外から確認することができます。
また、近代建築ではありませんが、共同住宅群の中には「スターハウス」と呼ばれる、
三ツ矢型構造の珍しい建築を見ることができます。(下)
さて、石畳の道に沿ってさらに野毛の頂上を目指しましょう。
公共駐車場を過ぎてすぐ、路地を左へ入ると守衛所のついた、
いかにもガードの固そうなゲートが見えてきます。
それもそのはず、ここは
横浜市長公舎の入口なのです。
昭和2年、横浜市建築課(坂本信太郎)の設計、中村建築事務所の施工に建てられた、
フランク・ロイド・ライト風のR.C.2階建ての建物です。
現在も実際に市長が住まわれているようなので、
当然ながら、どんなに泣きついても中は見せてもらえません。
ここはあきらめて、もとの石畳の道へもどり、
目的地の野毛山公園を目指しましょう。
・・・野毛山公園に到着しました。
一段高くなった広い芝生の上に、卵の殻のような不思議な建造物が2つ。
ここが、目的地の旧野毛山配水池(昭和2年)です。
明治20年日本最初の近代水道が創設され、野毛山に最初の浄水場が完成。
後の関東大震災によってこの浄水場は破壊されますが、同地を公園として整備する一方、
内径41メートルのプールを2基備えた、この配水池を完成させたとのことです。
当時のものとしたら、かなり斬新なデザインと思います。(背景はランドマークタワー)
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入口の造りは重厚な面持ち。
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この公園から平地にかけては、市内で最も戦災が激しかった地域のひとつです。
よって、歴史のある町にも関わらず、戦前の建物は数えるほどしかありません。(仁木)
※注 木造2階建て、コロニアル様式の巨大な洋館(和館も併設)で、
横浜の迎賓館的な役割を果たしていたという。明治26年竣工。
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