I邸
(旧山口勝蔵別荘)


大磯駅前に建つ洋風の別荘建築です。
手元データでは大正初期の建築とされていますが、明治後期という情報もあります。
それ故に、大正・昭和と意匠の簡略化に入る以前の、緻密なディティール、
明治建築特有の優雅な佇まいを魅せています。
美しい意匠として、おそらく県内10指に入ろうかという、素晴らしい洋館です。

長い間レストランとして活用された後、現在では幸運にも別の用途で使われておりますが、
一時は解体の危機に瀕したこともありました。

ここ大磯は、戦前の別荘建築群が次々と姿を消し、
近年では、旧三井守之助別邸解体の救済も失敗に終わり、
その後も、伊藤博文別邸や吉田茂別邸など、次々と文化財級の建築の解体問題が浮上している地域です。
大磯町は、都心から近い、海と山が美しい風光明媚な土地として知られ、
明治期より、政財界の著名人の別荘建築が数多く存在する、全国的にも稀有な土地でありましたが、
現在では、それらの敷地にマンション等が建設され、もはやその面影も失いつつあります。(仁木)

Data
所在地:中郡大磯町1007
構造:木造3階 地下1階
設計:
施工:
建築年代:大正初期

白い下見板張りのコロニアル調住宅。何とか残って欲しいものです。



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