旧住友重機械工業浦賀艦船工場@ 事務所・煉瓦塀

巨大なクレーンや、煉瓦造のドライドック等、目をひく施設が多い住友重機浦賀艦船工場ですが、
この事務所建物も負けじ劣らず、巨大で、迫力のある建物です。
県内の下見板張りの建物で、ここまで大きいものは他に無いのではないでしょうか。
この建物の隣には、モルタル塗りの別棟(こちらも戦前か?)がありますが、
これを併せたら、ちょっとした学校校舎ほどの規模となるでしょう。

この下見板の事務所の由来を聞いたところによると、
同工場の前身である、浦賀船渠がこの浦賀に設立されたのが明治30年。
その頃、今の京急浦賀駅に「共楽館」という巨大な劇場(造船所で働く労働者の厚生施設)があり、
震災後、倒壊したその建物の部材を用いて、この事務所が建てられたとのことです。

ここ浦賀ドックでは、一世紀以上にわたって、数々の船舶が建造されてきましたが、
もともとこの地は、江戸幕府造船所があったところですので、浦賀の造船としての歴史はさらに遡ることになります。
あの幕末の名船、咸臨丸もこの地で修理されたということですから、その歴史の重さを感じるとともに、
往時このドックがいかに重用されていたのか、うかがい知ることができます。

そんな由緒あるドックも、時代の荒波を乗り切れず、ついに平成15年3月末日に閉鎖となりました。
すでに保存活用も検討されているという、ドックやクレーンの傍ら、この建物の行く末が気がかりです。

※残念ながら解体となりました。(平成20年5月確認) 煉瓦塀は現存しています。
Data
所在地:横須賀市浦賀町4-7
構造:木造2階
設計:
施工:
建築年代:大正末期?(震災後)

 
 

事務所付近にみえる煉瓦塀は創建時のものでしょうか。フランス積み風です。
 
 

 



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