在日米海軍横須賀基地司令部
(旧横須賀鎮守府)

在日米軍横須賀基地は、昭和20年9月2日、旧日本海軍施設の接収によりつくられたもので、
現在でも明治〜昭和初期の建築物が多数存在します。
すなわち、旧横須賀海軍工廠、横須賀海軍航海砲術学校、横須賀海兵団、
海軍工機学校、海軍病院、横須賀鎮守府、鎮守府文庫、海軍軍法会議所などがその主なものであり、
そのエリアは、横須賀市本町・稲岡町・楠ヶ浦町・泊町・大滝町にまたがる広範なものです。
そしてこの施設の中で、かつては横須賀鎮守府、現在は基地司令部として、
おそらくは、今も昔も最もシンボリックな存在であるのがこの建物でしょう。
全体的には平滑なファサードですが、石積み風の基壇と、大きなアーチをもった車寄せが建物に貫禄を与えています。
また、内外装にいくらかの改装(茶色いタイル貼りは後のもの?)があったとのことですが、戦前の写真と比較しても、
遠目で見た限りでは、さほど変わらぬ佇まいであることがわかります。
施工は馬淵組(現在の馬淵建設)によるもので、同社HPの沿革を見ると、
明治末の創業でありながら、大正9年には横須賀市内で最初の鉄骨工事に着工し、
そのわずか数年後に、このような、国策にかかる重要なR.C.造建物建設を成し遂げています。

Data
所在地:横須賀市稲岡町(在日米海軍基地内)
構造:R.C.造3階
設計:横須賀海軍建築部(島田秀穂ほか)
施工:馬淵組
建築年代:大正15年
備考:





戦前の絵葉書より。周囲の木々は成長したが、今と変わらぬ佇まいである。



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