帝蚕倉庫第一帝蚕ビル

帝国蚕糸倉庫株式会社が、この地に設立されたのが大正15年4月。
(その後昭和22年10月、帝国倉庫株式会社に社名変更。)
同年7月に、生糸検査所A〜D号倉庫を用いて営業が開始されていますが、
この時点では、まだこの建物はありませんでした。
それから1年半後の昭和3年2月、「帝蚕ビル」としてこの建物は誕生しますが、
そもそも、この建物設置が当初の構想中になかったのか、キーケン一連の施設とは異なる設計・施工者であり、
また、建物の外観も他の建物のデザインを踏襲することなく、とてもシンプルなデザインとなっています。

現在、関内地区に残る主だった近代建築といえば、国・県・市等の施設として建てられたものが中心であり、
その次に銀行建築等が続きますが、このビルのように、オーソドックスな戦前の中規模オフィスビルは意外にも少なく、
特段とりあげるような意匠はないものの、希少という点だけでも、いずれは価値ある建物になるのではと思います。(仁木)

※平成20年解体されました。
Data
所在地:横浜市中区北仲通5-57
構造:R.C.4階 地下1階
設計:竹中工務店
施工:竹中工務店
建築年代:昭和3年
備考:

 
 

シンプルな外観にあって、唯一、アールデコ風の味付けがなされた玄関部分が目をひきます。



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