同潤会新山下普通住宅

関東大震災(大正12年)による甚大な被害、特に東京・横浜地区の住宅損失を重く受けとめた国は、
被災者のための住宅や生活支援施設の建設に早急に対応すべく、
震災翌年の5月に、内務省の外郭団体として財団法人同潤会を設立させました。

同潤会の仕事として特に名高いのが、R.C.造のアパートメント。
応急的な即席建築ではなく、構造的にもデサイン的にも質の高いものでした。
それらのほとんどが東京都内に建てられておりますが、
横浜市内にも中区山下町と西区平沼町に6棟づつ建設されました。(両者ともすでに解体。)
近年、これらのアパートメントは老朽化等に伴って次々と解体されておりますが、
その度に起こる保存運動等がマスコミに取り上げられることが多い反面、
あまり一般的に知られていないのが、法人設立後すぐに進められた木造住宅の建設。
その建設数は仮設住宅を含めて、初年度には5000戸を超える大規模な事業でした。
横浜市中区の新山下でも、いくつかの木造住宅が建設され、
近年まで実際に住まわれていました。(その他としては南区に南太田住宅がありました。)
その後これらの住宅と住宅の間に、同潤会の仕事とは関係の無い住宅が次々と建てこまれ、
長屋のような独特な景観を形作っておりましたが、これらもすでに解体され、現在では市営住宅が建ち並んでいます。
意匠・構造ともに和風の建物であり、本来はこのサイトでとりあげるべきものではないかもしれませんが、
数々の近代的な傑作アパートメントを生み出した同潤会の仕事のひとつとして紹介させていただきました。(仁木)

Data
所在地:横浜市中区新山下
構造:木造2階
設計:
施工:
建築年代:大正13年
備考:




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