横浜アイランドタワー
(旧第一銀行横浜支店、前横浜銀行本店)

この建物が現役(銀行)で活躍していた頃の姿を私は知りませんが、こうして眺めると、実に美しい建築と思います。
そもそもは中区本町5丁目46番地(現在の横浜第二合同庁舎に向かって左隣。)にあったこの建物、
外観上一番重要であるバルコニーを残して解体し、その保存部分を曳き家して現在の場所へ移すとともに、
残り部分を新しく復原したものです。オーセンティックな意味においては残念でありますが、
むしろ、完全なレプリカではなくて良かったと、個人的には思っています。
(綜通横浜ビルや、日本火災横浜ビルのような抜け殻的な建築の保存には否定的ではありますが。)

現在の敷地も同様ですが、細長の三角形の敷地に沿うように設計されており、
細くなったその三角の先端に、3対の堅牢な鉄扉がついたメインのエントランスが設けられ、
その上部に、4本の大きな柱に支えられた、前述の華麗なバルコニーがあります。
また側面には、アーチの大窓が6つ並び、こちらもなかなか壮観です。

当建物の保存については、特別にうれしく思います。
旧来の本町通りと、みなとみらい大通りへ続くメインの道との岐路に建ち、
誰が見ても、この地区のランドマーク的な位置づけとして扱われている点です。
これを見て、横浜の近代建築保存への認識が一般の方々にも広まってくれることを期待しています。(仁木)

Data
所在地:横浜市中区本町6-50-1
   (旧所在地:中区本町5-46)
構造:R.C.3階、地下1階
設計:西村好時(清水組:旧部分)
施工:清水組(旧部分)
建築年代:昭和4年
備考:横浜市認定歴史的建造物

現在ではBankART1929の活動拠点として活用されており、さまざまなイベント等が展開されております。


このバルコニーは用途をなさない空間でありますが、その「無駄」が美しい。



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