横浜港内防波堤灯台(赤・白灯台)

この灯台は、横浜港が本格的な近代港としてスタートするための
第一期工事の中で設置された、非常に貴重な財産です。
それは、横浜近代水道の恩人である、イギリス人技師H.S.パーマーの設計により明治22年に着工し、
難工事の末明治29年5月に完成した内防波堤の先端に位置し、灯台自体もそれと同じ時代に築造されていること。
その歴史的背景もさることながら、100年を超える長い間、港内の安全を守り続けており、
横浜港のマスコット的な存在として、もっと愛されるべき存在と思います。

防波堤は2つ、当時の設計では、延長1,829mの北水堤と1,640mの東水堤が、弧を描くように横浜港を取り囲み、
北水堤には赤灯台が、東水堤には白燈台が載せられていました。
現在の水堤は幾多の改修がなされており、当時そのままというものではありません。
また、港の埋立て拡張工事によって、北水堤は現在1,039m、東水堤にいたっては、
そのほとんどが山下埠頭内に取り込まれており361m、港の発展と共にその形を変えてきています。

そして、白灯台は昭和38年に山下公園の氷川丸横に移設され、当初の役割を終えていますが、
山下公園のシンボルのひとつとして、観光客の写真に納まることもあります。
一方の赤灯台は、今なお当初の場所に建っており、今後も使われ続けてくれることを願うところです。
灯台は鉄造。赤灯台は赤い光を、白燈台は緑色の光を放ちます。(仁木)

Data
所在地:横浜港
構造:鉄造
設計:臨時横浜築港局・航路標識管理所
施工:
建築年代:明治29年4月
備考:

白燈台。氷川丸と一緒に、見学も可能です。
  

赤灯台。釣り人の人気ポイントとしても有名。
 

赤灯台を載せた北水堤。短くなったとはいえ、ご覧のとおりの規模。



(C) 近代建築アーカイブクラブ All Rights Reserved.