カトリック山手教会聖堂

文久元年12月13日(1862年1月12日)、
パリ外国宣教会が居留地80番に建てた横浜天主堂が、開港後の日本で初めてのキリスト教会堂です。
マリア像を載せたポーチをイオニア式オーダーが支え、ペディメント等の古典様式の味付けがなされたものでした。
絵で見る限りは石造のように見えます。
同教会は明治39年、2つの塔を持つ煉瓦造の聖堂を山手44番に建設します。
そこへ活動の拠点を移したものが、カトリック山手教会のはじまりです。
ところが、その煉瓦造教会の寿命は短く、大正12年の関東大震災によって完全に崩壊してしまい、
現在の建物は昭和8年に再建されたものです。
尖塔アーチの窓に背の高い鐘塔を持った、典型的なゴシック様式の教会建築ですが、
内部には細かな装飾が施された列柱などを備え、この山手カトリック教会は、日本一美しい聖堂とも呼ばれています。

さて、この建物にまつわる興味深い話があります。それは施工にあたった大手建設会社の関工務店。
同社が請け負った、初のコンクリート造による建物だそうで、スワガーから工法の指導を受けたと伝えられています。
その後、R.C.造の建物が中心となっていったことを考えれば、スワガーは、同社の発展に大きく関わった人物といえる存在なのです。(仁木)

Data
所在地:横浜市中区山手町44
構造:R.C.1階 地下1階
設計:J.J.スワガー
施工者:関工務店
建築年代:昭和8年
備考:横浜市認定歴史的建造物

ゴシック様式の毅然としたプロポーションは山手で最も際だつ存在です。

中央祭壇前の床下は空洞になっており、      
そこに反響する説教者の声が全体に伝わる仕組み。 
マイク・スピーカーが無かった時代の音響設備です。

ステンドグラスを通過して着色された陽の光が
良い色に室内を染めていました。      

写真左の美しいステンドグラスは、             
彼の出身国であるチェコのプラハから贈られたものだとのこと。
残る窓には右のステンドグラスがはめ込まれています。    
窓枠は新しいが、グラスは当時からのもの。こちらは国産です。


入口から入って真上にあるバルコニーにパイプオルガンが設置されています。
う〜ん、ちょっともったいない場所に置いてますね。           

背の高い塔部は、いつまでも西日を浴びています。       
内部にある鐘は、居留地時代から引き継いできたものだそうです。



(C) 近代建築アーカイブクラブ All Rights Reserved.