セント・ジョセフ・インターナショナル・カレッジ講堂兼体育館

山手のセント・ジョセフ・インターナショナル・カレッジが廃校となり、
ベーリックホールを除いた校内施設のすべてが解体となりました。
廃校は前年に決まってはいたものの、
施設は何らかの形で生き延びるのではないかと、楽観していました。
それがあのヘルムハウスの解体から1年も待たずに
またもスワガー作品が失われることになろうとは、正直信じられない気持ちでした。

この「講堂兼体育館」は、高低差のある土地の形状に合わせ、
また、限られた敷地面積を有効に利用した4層の大型多目的施設です。
外観は旧校舎・新校舎の意匠に合わせ、全面が細かなタイルで覆われており、
また、グラウンド側から見る大きなアーチ窓が印象的な建物です。

体育館兼講堂という用途上、フロアに立てられる柱の数にも限りがあろうと思いますが、
それをこの崖っぷちに4層建てにできる技術者が当時の日本に何人いたのかわかりませんが、
スワガーの得意とする土木技術と構造技師としての力量が十分に発揮された
彼の代表作のひとつだったのではなかろうかと、素人ながらに思います。
※平成13年2月解体確認しました。(仁木)

※平成13年2月解体確認しました。
Data
所在地:横浜市中区山手町85
構造:R.C.造2階 地下2階
設計:J.J.スワガー
施工者:関工務店
建築年代:昭和9年

晴れ渡った空を背景に見ると、解体間近であることが嘘のようでした。
 

 

崖に接しているため、隣接する道路から直接、講堂(4階相当部分)へ入ることができます。 
写真右奥に見えるのは横浜雙葉学園の鐘塔(昭和初期造)。共に夕陽を浴びて輝いていました。



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