パークシティ本牧クラブハウス
(旧山手250番館/スタンダード石油会社社宅)

連続する2戸の住宅が、左右対称に配置されている横長の構造で、
ご覧のとおり、入口正面からカメラに納めることができませんでした。
南欧風の意匠ですが、切妻型の黒い瓦屋根は、見る角度によっては日本的な印象です。
また、通り面側の必要最小限の小窓に対して
南側は、適度な凹凸と大きな開口が、あらゆる角度からの採光をもたらしています。
ところで、横浜の山手地区にはレーモンドが設計した社宅が、いくつか建っていました。
この建物も元々は山手の250番地にあったものですが、
現在では本牧地区に移築され、マンションの管理棟として活躍しているのです。
そして高層建築物が多い当地区の中において、そのひっそりとした優しい佇まいは、
近隣住民に安らぎを与えていることでしょう。(仁木)

(追記)
戦後間もなくにも、再度レーモンドの手によって、スタンダード石油会社の社宅群が建設されています。
こちらはコンクリートの打放しの箱形の構造に、巨大な木製サッシをはめ込んだ、
まさしくモダンなスタイルで、当時の人々の注目を集めました。
本牧に4軒、山手に1軒、また東京の伊皿子に4軒ありましたが、現在では本牧に2軒を残すのみとなりました。
Data
所在地:横浜市中区
構造:R.C.造2階 地下1階
設計:アントニン・レーモンド
施工者:不明
建築年代:昭和4年(昭和60年移築)

西側

東側

南側

北西側から



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