旧根岸競馬場一等馬見所
とにかくその大きさに圧倒されます。
いや、街の建物に比べれば、それほど大きくはないのかも知れませんが、
まわりに比較する建物が無いことに加え、モーガン特有の重量感溢れる意匠に、
建物を廃墟化させた時間のエネルギーが加わって、この建物を2倍にも、3倍にも見せているのです。
横浜市においてのモーガン作品はどれも、特別ともいえるほどの高い評価を受けています。
それらはすでに、市の認定歴史的建造物や、文化財の指定を受けていることはご承知のとおりですが、
実はこの建物こそ、モーガンの代表作になるのではないだろうかと私は思っています。
一・二等併せて16,500人を収容できるという、規模の大きさはもちろんのこと、
当時の競馬は、現在のものとは比較にならないほど、馬見にかかる費用にしても、
また社会的にも最高の社交場であり、この施設のリニューアル計画には、相当の注目が集まったことと思います。
さて、現在この建物の周辺は「モーガン広場」としてきれいに整備されています。
昭和63年の二等馬見所解体の時もこの建物だけは残されており、私はこのスタンドが保存されるものと信じております。
皆さん、何か情報をお持ちでしたら是非教えてください。(仁木)
Data
所在地:横浜市中区根岸台 根岸森林公園内
構造:R.C.造7階 地下1階
設計:J.H.モーガン
施工者:大倉土木株式会社
建築年代:昭和4年 |
横浜の中で、最もダイナミックな近代建築物。 |
空を隠さんばかりの力強さ。これぞモーガン建築。
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反対側の丘から撮影した、スタンドの背面。夕陽を浴びる姿は格別です。 |
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