日産自動車横浜工場1号館
(旧本社社屋)

戸畑鋳物の自動車部からダットサン製造に関する一切を引き継いで、
後に日産自動車株式会社に改称となる「自動車製造株式会社」を設立したのが昭和8年。
つまりこの建物は創立と同時に誕生した、まさに日産教の聖地・聖堂に値するものなのです。
ここにある横浜工場は、日本初の量産工場ともいわれ、
大ヒットした小型車「ダットサン」をはじめとする往年の名車達を
次から次へと途切れることなく産み出してきました。

建物のほうですが、薄暗い時間帯などに行くと少々不気味なものがあります。(笑)
インターナショナル的なノッペリとした躯体に、突然変異のように突き出たベイ・ウィンドウ。
オフィス系の建物で、このようなスタイリングは珍しいのではないでしょうか。
4階は増築かもしれませんが、湾曲したルーフトップも、この手の建物にはあまりみかけないものです。
いずれにしても京浜工業地帯の中では、日本ビクター第一工場等と並んで、
貴重な戦前の建物のひとつであるといえます。(仁木)

Data
所在地:横浜市神奈川区宝町2
構造:R.C.4階(一部鉄骨造)
設計:
施工:中央土木株式会社
建築年代:昭和9年(昭和10年増築)
備考:横浜市歴史的認定建造物

手前には貨物用列車の線路。陸送が発達していなかった時代、
名車達も汽車に揺られ各地へと運ばれていったのでしょうか。



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