居留地48番館
(旧モリソン商会)

イギリス人貿易商であるJ.P.モリソンが、明治中頃から昭和初期にかけて、
日本茶の輸出や、ダイナマイト等の外国製品の輸入販売をしていた、モリソン商会の店舗建物です。
西洋の建築様式(手法)を取り入れた建物としては、中区大芝台の地蔵王廟より遡ること9年、
まだ居留地制がしかれていた時代に建てられた、横浜市内最古の洋風建築物です。
また、全国的にみても数少ないとされる、フランス(フランドル)積みの工法によることから、
建築史的にも貴重な遺構であるといえます。

関東大震災で建物の2階部分が崩壊し、その後の区画整理で1階の3分の1ほどが失われながらも、
不思議なことに、建物は残存部分を修復し、使用され続けました。
その後、所有者はヘルム兄弟商会に変わりますが、この期間の建物の用途は不明です。
ただ、建物内部に水回り工事を施した跡があることから、同敷地内にあった、
ヘルムハウスアパートメントの管理人室として使われていた可能性が考えられます。
昭和53年からは県の所有となり、平成4年までは神奈川県警が使用していましたが、
当遺構の重要性が認められ、県文化財保護審議会からの答申に基づき、
平成13年2月13日付け、神奈川県指定重要文化財に指定されました。(仁木)

Data
所在地:横浜市中区山下町54
構造:煉瓦造1階(元々は2階)
設計:不明(フランス人建築家関与の可能性あり)
施工者:不明
建築年代:明治16年
備考:神奈川県指定重要文化財


 

保存工事が施工される前の姿。後方にヘルムハウスアパートメントが見えます。
 
 

48番館のキーストーン。

元入口部分。上部にキーストーンが見えます。
 
 

保存工事前の内部の様子。



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