横浜開港資料館旧館
(旧イギリス領事館)

幕末から昭和にいたるまでの、横浜の歴史に関する資料数十万点を保存・展示している横浜開港資料館旧館は、
かつては英国領事館として昭和47年まで使用され、設計も英国工務省で行った由緒ある建物です。

イギリスでは18世紀半ば頃に、ギリシア建築のモチーフを取り入れることが流行ったそうですが、
時間のズレこそあれ、この建物もその流れの延長上にあるようです。
特に、正面玄関では、2本の見事なコリント式円柱が構え、入口上部にはブロークンペディメント、
見上げればコーニスが巡り、弓形の天井はケーソンで飾られるなど、
古代建築様式のエッセンスが凝縮されており、この建物の見どころのひとつとなっています。

そして、その玄関の前に立っている「玉楠の木」の下で、かつての日米和親条約が交わされたと伝えられています。
古代の様式を受け継ぐ建物と、開国を見守った玉楠の木。時間と空間を超えて、ついつい思いを馳せてしまいます。(仁木)

Data
所在地:横浜市中区日本大通3
構造:R.C.3階 地下1階
設計:イギリス工務省
施工者:昭和土木建築
建築年代:昭和6年
備考:横浜市指定文化財


現在は中庭状になっているがここが正面玄関。
写真上部を覆っているのが玉楠の木。    

かつては、この英国紋章が正面玄関の      
ブロークン・ペディメントに掲げられていました。
現在は、総領事室内に飾られています。     



当時の門番所。こちらも文化財の指定を受けています。
現在は喫茶店として使用されています。       

総領事室。特別な日以外は公開されていません。

総領事室内の暖炉。



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