関東学院中学校校舎
(旧関東学院中学部)

京浜急行線黄金町駅から続く、国道16号線の長い坂をひたすら登り、
やがて見えてくるのが関東学院中学校の正門です。
ただ、この場所からキャンパス内の建物は眺めることはできず、
さらに門から続くアプローチを上っていかなければなりません。
勿論、許可なく関係者以外の立ち入りは禁じられていますので、
この校舎の存在を知らない人は意外と多いのではないかと思いますが、
国道16号を挟んで反対側の丘から良く見えますので一度ご覧になってください。

さて、正門からのなだらかな坂を上っていくと、
ビルの4・5階の高さはあろうかというヒマラヤ杉の巨木の背後に、
中世ヨーロッパの古城を思わせる、いかにも堅固なつくりの建物が見えてきます。
この建物こそモーガンの代表作のひとつにあげられる、関東学院中学校の本館です。
建物は一年を通して太陽に背を向け、でも僅かに注ぐ光さえも、ヒマラヤ杉の枝葉に遮られ、
鬱蒼とした空気の中、このノルマンディックな城を中心に、幻想的な空間を創り出しています。
この演出は、さすがのモーガンも計算していなかったと思いますが、
神秘と威厳に満ちた雄々しい姿は、
同校の伝統を裏付けるかのように、確かな存在感を示しています。(仁木)

Data
所在地:横浜市南区三春台4
構造:R.C.造3階 地下1階
設計:J.H.モーガン
施工者:
建築年代:昭和4年
備考:横浜市認定歴史的建造物

 

正面玄関、大谷石の大きなアーチは印象的。 
扉の十字型の意匠も良い。当時からのものか?
 

銃眼風のバラペットから、今にも鎧を纏った兵士が顔を出しそうです。
 

アーチが続く1階の長い廊下。 
映画の撮影にも使われました。

 
 

照明は同校の校章のモチーフとなった、  
オリーヴの花をかたどったものでしょうか。



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