ヘルム・ハウス・アパートメント

ヘルムハウスの所有者、ヘルム兄弟社は、
明治初期から運送業を横浜で営んでいましたが、
後に洗濯業やドッグの運営など多角的経営を展開し、
昭和に入って、外国人向けのアパート経営をはじめるにあたり、
建設したのがこの建物です。

おそらく各室に2面以上の採光をもたらすことを目的に、
スワガーはこの凹凸の構造を用いたのではないかと思いますが、
それが故に、後々にこの建物を事務所として使用した
神奈川県警や神奈川県庁は、かなり使い勝手が悪かったとのことです。

平成12年、周囲の惜しむ声もむなしく、老朽化等の理由から解体となりました。
あと20年、いや10年後だったら、この建物の重要性に気がついてくれたかもしれません。
またひとつ、ハマの名物が消えていきました。(仁木)

※平成12年5月解体
Data
所在地:横浜市中区山下町53
構造:R.C.造5階 地下1階
設計:J.J.スワガー
施工者:関工務店
建築年代:昭和13年

「時代がヘルムハウスに追いついた」のでしょうか、
この建物が60年以上前のものと認識する人は少ないと思います。


解体直前の姿。足場とバリケードが組まれていきました。



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