箱根病院会議室及び講堂
(旧傷兵院)


国立病院機構箱根病院は、緑豊かな山を背後にした広大な敷地にあり、
相模湾も近く気候も温暖で、長期療養に適した地域にあります。
(「箱根」という名前がついていますが、実際には小田原市内にあります。)
同病院のホームページによると、明治40年に「廃兵院法に基づき陸軍省所管の廃兵院が
東京予備病院渋谷分院の一画に設置された。」のがはじまりであり、
以降、昭和9年には法律改正に伴い「傷兵院」に改称、現在の地に移転してきたのは昭和11年とのことです。
その当時は、全部で33棟もの施設があったということですから驚きです。
現在では施設も新しいものに変わり、往時の建物は2棟を残すのみとなりましたが、どちらも良い建物でした。

今は会議室や職員の休憩室として使用されている旧本館は、
大きなポーチと屋根に載せた可愛らしい塔が特徴的な白い下見板の建物。
内部は見ることができませんでしたが、天井は格天井、壁にはドイツから取り寄せたという薄緑の壁紙が貼られ、
院長室にはこれまたドイツ製のシャンデリアが下がっていたとのことです。
一方の講堂の方は平屋建てで、シンプルですが、鉄平石の貼られた玄関はなかなか趣きがあります。
内部には映写室などもあったそうですが、現在は倉庫などに使用されているようで、
残念なことに、駐車場拡張のため、近々解体になるということです。
残る旧本館については、県内でも珍しい建物ですので、是非とも残していただきたいものです。(仁木)

※ここは多くの方が療養されている病院施設です。建物を見学される際には病院事務所にご連絡ください。
Data
所在地:小田原市風祭412
構造:木2階(会議室)
  :木1階(講堂)
設計:内務省営繕管財局
施工:
建築年代:昭和11年

会議室
 

講堂
 

講堂の脇には壁泉がありました。
 



(C) 近代建築アーカイブクラブ All Rights Reserved.