I邸

全体を見渡せずとも、緑濃い大磯の山を背後に、オレンジの瓦を輝かせて一際目立つ洋館。
その規模と意匠は、県内の戦前洋風住宅としては、10の指に入ってこようかと思われる程のものです。
設計者の桜井小太郎は、この住宅の他にも、鎌倉と横須賀にそれぞれ1棟ずつ、名作を遺しておりますが、
共通して、彼が建築を学んだ地、イギリスの古典的な建築様式が色濃く出ております。
この建物が建てられた大正12年は、三菱地所を退社し、個人建築事務所を立ち上げた年(5月)ですので、
三菱時代最後期か、あるいは事務所立ち上げ前に、個人で引き受けた仕事ではないかと推測されます。(仁木)

Data
所在地:中郡大磯町
構造:木造2階
設計:桜井小太郎
施工:高宮源次郎
建築年代:大正12年6月

オレンジの瓦と、大きな煙突、ハーフティンバー。一度間近で見たいものですね。



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