東京大学三崎臨海実験所 旧実験棟

三崎の小網代の森と海は実に美しい。
狭い地域とはいえ、この神奈川において、森・川・干潟・海が一体となって、
今日のような美しさを保っていることは、まさに奇跡的なことといえるでしょうし、
「かながわ未来遺産100」にも選ばれているように、
今後においても、保全には最大限の配慮がなされていかなければなりません。

ところで「奇跡的」といえば、小網代にもう一つ、東京大学三崎臨海実験所の旧実験棟の現存。
小網代のすぐ隣の、油壺湾の先端に佇む、なんと明治期の木造研究施設が今に残されています。
同実験所のサイトの情報によれば、明治41年からの施設拡張工事の際に建設されたものとのこと。
下見板に縦長の上げ下げ窓。そして日本瓦。正しく明治期の洋館です。
建物内部には入ったことはありませんか゜、
東大の広報誌「淡青10号」に掲載された「東京大学三崎臨海実験所散歩道」によると、
「その天井に彫られた透かし彫り、特にウミテングは印象的である。」とあり、
おそらく通気口のことを指しているのかと思われますが、ぜひ一度見てみたいものです。

現在は実験室ではなく、外国人用宿舎として使用されているとの情報もあり、
脇役にまわりながらも、施設の役割のひとつをかろうじて果たしているいったところですが、
神奈川では希少な明治期の近代建築。
国・市・地域で、歴史的遺産として未来に残すべき検討をしていただきたいと思います。(仁木)

Data
所在地:三浦市三崎町小網代1024
構造:木造1階
設計:
施工:
建築年代:明治39年(明治41年?)

 
 

古い絵葉書から。写真中央にみえるのが、今も現存する旧実験棟。
その左奥の平たい建物は、明治30年に建てられた実験棟。
さらに左手前の木立に隠れている2階建ては、明治19年築の標本室棟。



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