鎌倉文学館
(旧前田家別邸)


近代建築ファンの間では「鎌倉の三大洋館」と呼ばれているものの1つ。
たしかに規模、様式、意匠、どれをとってもなかなか他では見れない迫力のある
建築で、鎌倉の別荘建築を代表するものです。

鎌倉文学館は、加賀百万石の藩主で知られた旧前田侯爵家の鎌倉別邸でした。
現在の建物は第16代当主利為氏が昭和11年に洋風に全面改築したもので
室内のステンドグラスや 照明器具がとても印象的です。戦後にはデンマーク公使が別荘に借用し、
昭和39年からは佐藤栄作元首相が借りて、亡くなるまで週末の静養地としていました。

作家の三島由紀夫氏が作品「春の雪」の中の別荘のモデルとして描いていることでも知られています。

昭和58年に本館建物が鎌倉市に寄贈されたので、外観をそのまま残し内部を補修し、
平成12年3月、鎌倉文学館が国の登録有形文化財になりました。

建物はハーフテインバーとスパニッシュを基調とし、半六角形の張り出し窓・半円形欄間の飾り窓、
パラペットの装飾・ベランダの手摺等、洋風のデザインを導入している一方で
切妻屋根と深い軒の出等和風デザインも見られ、独特の特徴的な外観を呈しています。
内部はアールデコの様式が随所に見られ、建築用材は塩害に強いチーク材を使用しています。

また、大理石を使用した玄関や暖炉、床のモザイク模様の寄木貼り
飾り窓の装飾、ステンドグラスや照明器具などもこの建物の重厚さを伝える要素となっています。(加藤)

(このページは鎌倉文学館のホームページを参考にさせていただきました。多謝!)

Data

所在地:鎌倉市長谷1-5-3
構造:木造2階
設計:渡辺栄治
施工:竹中工務店
建築年代:昭和11年
備考:鎌倉市景観重要建築物
   国登録有形文化財  

  


  


  

※この建物は一般公開されています。



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