渡辺邸
湘南地方の別荘建築を代表する建物のひとつであった、藤沢市鵠沼松ヶ岡の渡辺邸は、
何本も立ちあがる太い飾り柱が印象的なハーフティンバーの部分と、
1階部分を覆いつくす大小様々な鉄平石(と思われる)の石張りの対比が特徴的で、
16世紀イギリスのチューダー王朝時代の邸宅を彷彿とさせながらも、
どこか和の雰囲気も感じさせる素晴らしい住宅でした。
渡辺邸は平成13年に取り壊しとなっていますが、
国文化財レベルの建築であったことは間違いのないものでした。
残せなかった事情は、多々あっとは思いますが、
こと近代建築に関しては、文化財とスクラップが「紙一重」であるという現状を身近に体験し、
とても哀しい思いをした建物でした。
Data
所在地:藤沢市
構造:木造3階
設計:三井道男
施工:小林富蔵
建築年代:昭和3年 |
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