神奈川県立体育センター第2合宿所
(旧藤沢ゴルフクラブクラブハウス)

この建物は戦前のレーモンド作品の中では異色といえる建築で、
同時期に設計された作品、東京ゴルフクラブのクラブハウスと比べても、それは一目瞭然です。
関東大震災以降、使用をあまり好まなかったという瓦を急な勾配の屋根に積み、
東側の窓やポーチ、南側バルコニーには大胆なアーチをあしらい、
さらには、古典的な建築様式に則ったオーダーの装飾、
バラ窓風の意匠が施された円窓をロビー正面に取り付けている等々、正直驚きました。
レーモンドが、施主の注文に従わざるを得なかったことが度々あったという話を聞いたことがありますが、
これもそのうちのひとつだったのではないかと、個人的に推測しています。
しかし、そういった勘ぐりを抜きにして、細かに見れば見るほど、
この建物は美しいですし、存在感という点で県内の建築では屈指のものがあります。
ただ...もう少し手入れをして欲しいものですね。

Data
所在地:藤沢市藤沢4238
構造:R.C.造3階
設計:アントニン・レーモンド
施工者:不明
建築年代:昭和7年

もっとも美しい南側のファサード

かなり朽ちてきています。
手入れして欲しいですね。

イオニア式柱頭のピラスター。
ホントにレーモンド?    

玄関から入るとすぐにある階段。
堂々たる雰囲気です。

連なるルーフ・トラスが印象的な
ロビー(現食堂)。       
奥中央には円窓が見えます。  



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