鶴鳴館 松坂屋本店表館

小田原方面から国道1号線で箱根の山を登り、
芦ノ湖へ間もなく到着しようかというその手前、
箱根屈指の泉質を誇る芦之湯温泉が見えてきます。
ここには、神奈川の近代建築を語るうえで、特筆すべき建築が残っています。
鶴鳴館松坂屋本店にある表館です。

この建築は、ほぼ和のつくりですが、
玄関横のベイウインドウや2階の窓越しに見える手摺りなど、
ところどころに洋風の意匠が取り入れられています。
しかもそれが明治5年創建という早い時期のことですから驚きです。
ちなみに県内において、これよりも早い時期での洋風の意匠といえば、
相模原市の中村家住宅、横須賀市のティボディエ邸ぐらいしか存在しておりませんので、
いかにこの建築が貴重であるか、お分かりいただけるかと思います。
大きな改装がなされているようですが、引き続き大切にしていただきたい建築です。(仁木)

Data
所在地:足柄下郡箱根町芦之湯55
構造:木造2階
設計:
施工:
建築年代:明治5年



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