愛川町郷土資料館
(旧半原小学校校舎)

「木造校舎」という言葉の響きはいいものです。「暖かみ・ぬくもり」といったイメージが、頭の中に浮かびます。
それだけ人間は、常日頃から建物の素材を肌で感じ、無意識のうちにそのイメージを記憶しているのでは、と思います。
最近、児童の情操教育や健康・安全面から、木造校舎を見直す自治体もあると聞いています。
しかしその一方で、戦前の木造校舎たちが、次々と姿を消しているのも事実です。

写真の建物は、愛川町立半原小学校の旧校舎で、現在は、脇にコンクリート造の新校舎があります。
紆余曲折を経て、愛川町郷土資料館として生き残った、貴重な戦前の木造校舎です。
ゆったりと横に広がる校舎は、
グラウンドで走り回る子供達を、その懐で見守っているかのようです。
日本でも何本の指に入るほどの人口の過密した地域で育った私にとって、
この学校でのびのびと学んだ卒業生たちがうらやましく思います。
豊かさを求めて、ひたすら突き進んできた日本ですが、
こういうところに置き去りにしてきた豊かさもあるのですね。

Data
所在地:愛甲郡愛川町半原2201
構造:木造1階
設計:
施工:(地元大工)
建築年代:大正14年



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